↑↑↑前回のお話もお読みいただけると嬉しいです。
この記事のまとめ
全世界でベストの埋没法は何か?俺が多交差6点法(自然癒着法)をやることさ。安く仕上げたいならナイロン糸の点留めも全戦力投入でやるぜ!
俺流何が良いか
ループ/点、表留め/裏留め、何の糸を使うかに分けて整理しましょう
ループ or 点留め
多くの場合ループの方が仕上がりは良いです。ループ法は全体的に均一に引き込まれるのに対して、点留めでは結び目の箇所のみが引き込まれます。点留めにも費用が安いなど良いところは有ります。詳しくは二重手術、埋没法のお話④をお読みください。
表留め or 裏留め
トラブルが生じて埋没糸を除去することになった場合の事を考えると表(皮膚側)で結ぶのが良いと私は思いますが、裏留めには手術直後からアイメイクが出来るというメリットが有ります。
詳しくは二重手術、埋没法のお話④をお読みください。
糸の種類
詳しくは前回の記事、二重手術、埋没法のお話⑤をお読み下さい。
- ナイロン
一応非吸収糸に分類されますが、年単位の経過では分解吸収されます。また、この過程で糸の周囲に鞘状の繊維組織の増生を起こします。 - ポリプロピレン(プロリーン®)
ナイロンとポリビニリデンフルオライドの中間的な性質ですが、後者寄り。ナイロンよりかなり良いです。 - ポリビニリデンフルオライド(アスフレックス®
私の愛するアスフレックス®たん。加水分解はほぼ無い。繊維増生はありませんが、埋没法に使用するとごく稀に結び目の周囲だけに一時的に短期間だけ繊維増生を生じます。
多交差6点法
そんなわけで、ここまでをまとめるとループ法の表留めでポリビニリデンフルオライド(アスフレックス®)を用いるのが私的ベストということになります。中でも私が現状で最強と思っている多交差6点法を説明します。
瞼板側と皮膚側をそれぞれ6回ずつ貫通する

裏留め表留めに関わらず、通常のループ法では皮膚⇄深部方向の糸は両端の一本ずつです。つまり、引き込む力はこの2箇所にしか働きません。交差6点法では6箇所です。くっきりと入り込むラインを作る事に有効なのは経験上明らかですし、持ちの良さにも貢献している場合もある(理由は次回以後)と考えています。
皮膚を貫通する事の意味 クイックコスメティーク法との比較
これはもう、比較した論文が有りませんし多分今後も出てこない、完全な私見ですと前提を置いときます。その上で、皮膚を貫通した方が直後の引き込みはくっきり綺麗だし、長期にも安定すると思うんですよね。
エヴィデンスは無く自身の経験による弱い根拠なので歯切れの悪い言い方では有りますが、皮膚を貫通させる事で眼輪筋浅層〜眼輪筋筋膜辺りにしっかり引っかかってくれそうじゃありませんか?(弱気)
貫通せずとも理想的な運針で皮膚のすぐ裏のごく浅い所に通糸出来ればその差は無くなるとは思うのですが、これが中々難しい。特に瞼板や挙筋腱膜側から通糸して、皮下のぎりぎり浅い所を皮膚を貫通させずに長い距離を運針するの、すげぇ難しいと思うんですよw。いや、お前が下手なだけだろって話は取り敢えず置いといて、一般的にも難しいですよね。
実際、所謂クイックコスメティーク法の術後の患者さんに切開系の手術をすると、必ずしも糸がスクェアに通っておらず、楕円に近いダルな形に通糸されている事も有ります。正直、これは術者の技術の問題も大きいと考えていて、クイックコスメティーク法開発者の横谷先生と話した際も、慣れればごく浅い皮下を一定の層で通すことは可能と言っていました。
彼含めてこの方法に慣れた医師の術後はちゃんとスクエアに掛かっている印象でしたが、聞き齧りで真似したと思われる他院大手の術後にまぶたを切開すると、前述の様に楕円形に近い形に通糸されている事が多かったです。
ちょっと脱線しますが、この術式が流行り始めた際に、横谷先生はこの方法を施行する医師の条件をかなり厳しく制限していました。これに対して、特に「埋没でどんどん稼いでやるぜ!」系の若手から、既得権益を守ろうとしていると批判が有ったのですが、この技術的な問題からの制限という面が強かったのだろうと思ってます。古巣disの多いワイが言うのだから多分本当です。
身も蓋もないことを言えば、交差6点なら私の方が仕上がりは良いでしょうし、クイックコスメティークなら横谷先生の方が仕上がりは良いでしょう。で、お互いベストと思う方法でやった結果は、私は私がベストと思ってますし、横谷も同じく自分がベストと思っているでしょう。
この連載の最初の方で書いたように、高い技術の医者を選び、その医者のベストと思う方法で手術を受けるのが成功の秘訣です。
ここいらで点留めの話でも
では、ベストは多交差6点法の表留めとして、次は何なのか。本記事の最初に挙げた
- ループ or 点留め
- 表留め or 裏留め
- 糸の種類
の組み合わせを変えるのはどうなのかという話をしましょう。
例えばループ法でナイロンを用いるのはどうなのか。お勧めしません。ナイロン糸の周囲に生じた鞘状の繊維組織がゴワゴワした感じに目立ってしまう事が有るのです。ループ法では皮下の浅い所を通る糸が長いので、点留めよりも目立ってしまいます。
では逆に、点留めでアスフレックスやポリプロピレンを使うのはどうか。これは何というか、ダメじゃないけど中途半端だと思います。患者さんから見た点留めの大きなメリットは価格の安さです。良い糸を使えば価格を上げざるを得ませんし、ループ法なら原則片側1本のところ、2点留めなら2本、3点留めなら3本の糸が必要です。敢えて点留めを選択するなら、低価格なナイロンで良いのではないでしょうか?
そんなわけで私は、アスフレックス® を用いた多交差6点法とナイロン糸を用いた点留め(通常3点)をご提供しております。
今回も長文を読んでいただきありがとうございました。
次回は所謂『糸が取れた』話を詳しく書こうかなと。



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